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今回は、株式会社の最高意思決定機関である株主総会について、その開催場所に関する情報をお届けします。
株主総会とは、株主で構成される株式会社の最高意思決定機関のことです。
株主総会では、以下のような重要な事項を【決議・決定】します。
- 会社の組織・事業に関する重要事項
- 株主の権利に直接関係する事項
- 役員の選任・解任
- 役員報酬
株主総会は、毎年1回は定時株主総会として開催する必要があります。
また、必要があれば臨時株主総会として別途開催することもできます。
では、株主総会を開催する際に気になるのが、その開催場所ですよね。
株主総会の開催場所は、どこでも良いのでしょうか? また、どのような場所がおすすめなのでしょうか?
この記事では、株主総会の開催場所について、以下の内容を解説します。
- 会社法で決められている株主総会開催場所の要件
- 株主総会会場の種類とそれぞれのメリットデメリット
- 株主総会の会場選定5つのチェックポイント
会社法で決められている株主総会開催場所の要件
まず、株主総会の開催場所について、会社法上は特に制限がありません。
したがって、原則としてどこでも開催できるということになります。
基本的にはどこでもOK
株主総会の開催場所は、
取締役会が招集事項を定める際に個別で決定するため
必ずしも毎回同じ会場でなくても、問題はありません。
例外① 定款で定められている場合
しかしながら、株主総会の開催場所を定款で定めている場合は、その定款に従わなければなりません。
定款とは、株式会社の事業目的や株主総会・取締役会の運営ルールなどが記載された書類のことです。株式会社を設立する際に必ず作成しなければなりません。
定款で開催場所を定めることで、株主に対して事前に通知することができます。
例外②株主の参加が難しい場所の場合
また、前年の開催場所からあまりにも遠い場所で株主総会を開催する場合は、開催場所を決定した理由を招集通知などで株主に明示する必要(会社法施行規則63条2号)があります。
一定のケースでは、株主保護の為に開催場所について決定した理由を株主に明示する義務を会社に課しているからです。
ただし、次の2つの場合は理由を招集通知に記載する必要がありません。
- 定款で開催場所を定めている場合
- その場所で開催することについて、株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合
また、上記の手続きを踏んだとしても、株主の参加に著しい支障が生じる場所で開催する場合は、株主総会決議で取消理由となり得る点に注意が必要です。例えば、株主を害するためにあえて株主の住所から遠い場所や、交通機関が不便な場所にしたときは、「著しく不公正なとき」に該当する可能性があります。
株主総会会場の種類とそれぞれのメリットデメリット
次に、実際にどんな種類の会場で株主総会を開催することができるのか、そのメリットとデメリットを見ていきましょう。株主総会会場の種類は、大きく分けて以下の4つになります。
- ホテル
- イベントホール
- 貸し会議室
- オンライン
それぞれの特徴と利点・欠点を詳しく解説します。
ホテル
ホテルは、株主総会を開催する場所として最も一般的な選択肢です。ホテルでは、大人数から少人数まで様々な規模の会場が用意されており、飲食や受付などのサービスも充実しています。また、ホテルは交通の便が良く、株主にとってもアクセスしやすい場所に多くあります。
メリット
- 会場の選択肢が豊富で、規模や予算に合わせて選べる
- 飲食や受付などのサービスが一括で利用できる
- 交通の便が良く、株主にとってもアクセスしやすい
- 株主総会にふさわしい格式や雰囲気がある
デメリット
- 費用が高くなる可能性がある
- 予約が取りにくい場合がある(特に繁忙期)
- 他のイベントと同時進行になる場合がある(騒音や混雑など)
- 自社のオリジナリティや個性が出しにくい
イベントホール
イベントホールは、コンサートや展示会など様々なイベントに対応できる多目的な施設です。イベントホールでは、大型のスクリーンや音響設備などが整っており、株主総会の演出や発表に活用できます。また、イベントホールは自社のオリジナリティや個性を出しやすい場所でもあります。
メリット
- 演出や発表に最適な機材設備が揃っている
- 自社のオリジナリティや個性を出しやすい
- 大人数に対応できる広さがある
- 飲食や受付などのサービスも利用できる(場合による)
デメリット
- 費用が高くなる可能性がある
- 予約が取りにくい場合がある(特に人気施設)
- 交通の便が悪い場合がある(都心から離れた場所など)
- 株主総会にふさわしくない雰囲気がある場合がある(カジュアルすぎるなど)
貸し会議室
貸し会議室は、ビジネスシーンに特化した施設です。貸し会議室では、必要最低限の機材設備やサービスが提供されており、コストパフォーマンスに優れています。また、貸し会議室は、立地や規模などの選択肢が多く、自社のニーズに合わせて選べます。
メリット
- 費用が安い
- 予約が取りやすい
- 立地や規模などの選択肢が多い
- 必要最低限の機材設備やサービスが揃っている
デメリット
- 演出や発表に不十分な機材設備やサービスがある場合がある
- 自社のオリジナリティや個性を出しにくい
- 大人数に対応できない場合がある
- 株主総会にふさわしくない雰囲気がある場合がある(シンプルすぎるなど)
オンライン
オンラインは、インターネットを通じて株主総会を開催する方法です。オンラインでは、株主総会の映像や音声を配信し、株主は自宅や職場などから参加できます。また、オンラインでは、株主の質問や意見表明も電子的に行えます。
メリット
- 新型コロナウイルス感染症などの影響を受けにくい
- 交通費や時間などのコストを削減できる
- 地理的な制約を受けない
- 環境負荷を低減できる
デメリット
- インターネット環境や機器の不具合が発生する可能性がある
- 株主との対面やコミュニケーションが減る
- セキュリティや法的な問題が発生する可能性がある
- 株主総会にふさわしくない雰囲気がある場合がある(非公式すぎるなど)
株主総会の会場選定5つのチェックポイント
最後に、株主総会の会場選定において、注意すべき5つのチェックポイントを紹介します。これらのポイントを押さえておくことで、スムーズかつ効果的な株主総会を開催することができます。
リハーサル・開催当日に空いている
株主総会は、重要な意思決定を行う場です。そのため、事前にリハーサルを行って、会場の状況や機材の動作確認などを行うことが必要です。また、開催当日にも、万が一のトラブルに備えて、会場に余裕があることが望ましいです。そのため、会場選定の際には、リハーサル・開催当日に空いているかどうかを確認しましょう。
来場人数に対応できる大きさ
株主総会は、株主の権利行使の場です。そのため、できるだけ多くの株主が参加できるようにすることが重要です。そのため、会場選定の際には、来場人数に対応できる大きさかどうかを確認しましょう。来場人数は、前年度の参加者数や招集通知後の出欠確認などで予測できます。また、コロナ禍などで密集を避ける必要がある場合は、ソーシャルディスタンスを保てる広さかどうかも考慮しましょう。
機材設備が揃っている
- マイク・スピーカー
- プロジェクター・スクリーン
- パソコン・インターネット
- 投票機・カウンター
- 録音・録画機器
これらの機材設備は、会場によっては自前で用意しなければならない場合やレンタル料金が発生する場合があります。そのため、会場選定の際には、機材設備が揃っているかどうかを確認しましょう。また、オンラインで開催する場合は、配信システムやセキュリティ対策なども必要です。
アクセスがしやすい
株主総会は、株主にとっても重要なイベントです。そのため、株主が参加しやすいようにすることが大切で
す。そのため、会場選定の際には、アクセスがしやすいかどうかを確認しましょう。アクセスがしやすいとは、以下のようなことを意味します。
- 駅から近い
- 駐車場や駐輪場がある
- バスやタクシーなどの交通手段が利用できる
- 地図や案内板などがわかりやすい
また、オンラインで開催する場合は、インターネット環境や機器の使い方などがわかりやすいかどうかも重要です。
控室がある
株主総会は、会社の経営陣や役員などが参加する場です。そのため、会場には、彼らが準備や打ち合わせなどを行える控室が必要です。控室は、会場の近くにあることが望ましいです。また、控室には、以下のようなものが必要です。
- テーブル・椅子
- 電源・インターネット
- 冷蔵庫・飲料水
- 鍵・ロッカー
貸し会議室は同じビル内に複数の会議室があるため、株主解錠とは別の会議室も予約をすれば控室として使用することができます。
また、ホテルであれば、客室を控室として使用することも可能です。
まとめ
以上、株主総会の会場・開催場所について解説しました。
株主総会の開催場所は、会社法上は特に制限はありませんが、定款で定められている場合や株主の参加が難しい場所の場合は注意が必要です。また、株主総会会場の種類としては、ホテル・イベントホール・貸し会議室・オンラインの4つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
株主総会の会場選定においては、リハーサル・開催当日に空いているか、来場人数に対応できる大きさか、機材設備が揃っているか、アクセスがしやすいか、控室があるかの5つのチェックポイントを押さえておくことが重要です。
この記事を参考にして、あなたも株主総会の開催場所を決めてみましょう。